2025年11月、JPモルガンがCoinbaseのレイヤー2チェーン「Base」を採用したというニュースが大きな話題になりました。銀行がパブリックチェーンを実際の決済インフラとして使い始めたのは、業界でも珍しい動きです。
一方で、「企業向けの話でしょ?」「価格に関係あるの?」と疑問に思う人も多いかもしれません。
実は今回の発表は、暗号資産の仕組みそのものが“実用フェーズ”へ進んでいることを示しており、イーサリアムやレイヤー2を中心に長期的な影響を持つと考えられます。
そこで今回は、JPモルガンがBaseを採用した理由、JPMコインの仕組み、ETHやL2銘柄への影響、投資家としての判断ポイントなどをわかりやすく整理します。初心者の方でも理解できるように解説していきます。
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JPモルガンがBaseを採用!
JPモルガンがBase(ベース)を採用したというニュースは、暗号資産業界だけでなく伝統金融の分野でも大きな話題となりました。
これまで銀行は独自の閉じたシステムを使うのが一般的でしたが、今回はパブリックなブロックチェーンを活用するという大きな転換点になります。
ここでは、今回の発表内容がどのようなものだったのか、いつから実際に稼働しているのか、そしてなぜ世界中で注目されているのかを整理して解説します。
今回発表された内容を簡単に整理
2025年11月、JPモルガンはBase上で米ドル預金をデジタル化したJPMコイン(JPMD)の本番運用を開始したと発表しました。内容を簡単にまとめると次のとおりです。
- Base(Coinbaseが開発するレイヤー2)でJPMコインの提供を開始
- JPMコインは1ドルと同価の預金トークンで企業向け決済に利用
- 送金は1秒未満、手数料は1セント未満で完了
- Mastercard、Coinbase、B2C2などとパイロット検証を実施済み
- パブリックチェーンでの大手銀行による実運用は極めて珍しい事例
以上のように、今回の発表はJPモルガンがパブリックブロックチェーンを使い始めたことを示す重要な動きであり、金融のデジタル化が次の段階に入ったことを示しています。
Base本番運用が始まったのはいつから?
JPモルガンがBaseでの実運用を開始したのは、2025年11月12〜13日の公式発表からです。この時点で、企業向けの送金・決済機能がすでに稼働しており、Base上でJPMコイン(JPMD)を使った国内外送金が可能になっています。
本番運用に先立ち、2025年夏にはMastercardやCoinbase、B2C2など複数の企業とパイロットテストが行われました。テストでは、即時決済、24時間稼働、高額決済の処理性能などが検証され、その結果を踏まえて正式なプロダクション環境に移行しています。
今回のポイントは「実験段階を終えて、すでに現場で使われている」という点です。単なる計画発表ではなく、JPモルガンの決済インフラの一部が実際にオンチェーン化されたことを示しています。
JPモルガンのBase採用が世界的に注目される理由
JPモルガンがBaseを採用したというニュースは、単なる技術導入を超えて、世界の金融システムに大きな影響を与える可能性があるとして注目されています。なぜ今回の動きがこれほどまでに話題になっているのか、その背景には複数の重要な要素があります。
ここでは、JPモルガンのBase採用注目点を整理してわかりやすく解説します。
大手銀行がパブリックチェーンを採用した初の大規模事例
これまで銀行は独自の閉じたネットワークを利用するのが一般的でしたが、今回はパブリックなブロックチェーンを決済に採用しました。規模の大きい銀行がオープンなチェーンを実運用に使い始めた点が大きな関心を集めています。
Baseはイーサリアム系で、影響が広範囲に及ぶ
Baseはイーサリアムのレイヤー2で動いており、取引が増えるほどイーサリアム全体の利用にもつながります。JPモルガンの決済規模は非常に大きいため、わずかな割合でもオンチェーン化されれば市場への影響は小さくありません。
預金トークンという新しい金融インフラが動き始めた
JPMコインは銀行預金をデジタル化した預金トークンで、ステーブルコインとは位置づけが異なります。世界各国の金融機関が取り組んでいるRWA(現実資産のトークン化)が、ついに実用段階に入ったという意味で注目されています。
DeFiと銀行が同じチェーンで動く可能性
BaseにはすでにDeFiが存在しており、銀行の決済とDeFiが同一チェーン上で共存する可能性が生まれました。これまで分かれていた二つの領域が接続されることで、金融の仕組みに大きな変化が起きる可能性があります。
JPモルガンが採用するBaseチェーンとは?
Baseとは、米Coinbaseが開発したイーサリアムのレイヤー2チェーンのことです。
イーサリアムよりも高速で低コストに取引できる点が特徴で、2023年の公開以降、個人から企業まで利用が広がっています。今回のJPモルガンによる採用をきっかけに、企業向けの基盤としても注目度が高まっています。
ここでは、Baseの基本的な特徴と、2025年に成長が加速している背景を整理します。
Baseチェーンの特徴
Baseには、日常的なアプリ利用から企業の決済基盤まで対応できる複数の特徴があります。主なポイントは次のとおりです。
- 取引手数料が数円未満で済むことが多く、コストを抑えながら利用できる
- イーサリアムより高速にトランザクションを処理でき、混雑時でも安定しやすい
- イーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性があり、既存のイーサリアム向けアプリをそのまま移植できる
- Coinbaseが開発しているため、ウォレットや取引所との連携がスムーズでユーザーが使いやすい
- 開発者にとって扱いやすい環境が整っており、アプリが増えやすいエコシステムが形成されている
以上のように、低コスト・高速処理・互換性の三つを中心に、利用者と開発者の双方にメリットがある点がBaseの特徴です。
Baseが2025年に急成長している理由
Baseは2025年に入り、取引量や利用者数が大きく増加しています。成長の背景には、技術面と利用環境の両方で複数の要因があります。
- Coinbaseの利用者基盤と接続しており、新規ユーザーが入りやすい
- 手数料が安く、イーサリアムよりも使いやすい環境が整っている
- EVM互換により開発者がアプリを展開しやすく、対応サービスが増え続けている
- DeFi、NFT、ゲームなど多様なアプリが稼働し、エコシステムが成長している
- 企業向けのプロジェクトや実証実験が増え、ビジネス用途での注目が高まっている
- Polygon、Arbitrum、Optimismなど他のL2と並んで、主要チェーンとしての存在感が強まっている
こうした要素が重なり、Baseは個人・企業の両方から利用が増え、レイヤー2の中でも有力なチェーンとして急速に成長しています。
技術面・運用面から見るBaseが企業に選ばれやすい理由
JPモルガンがBaseを採用した背景には、企業利用に適した環境が整っていたことが挙げられます。特に次の点が評価されたと考えられます。
- Coinbaseが開発しており、規制対応やセキュリティ面で信頼しやすい
- イーサリアム基盤のレイヤー2であるため、安全性と安定性が確保されている
- EVM互換により既存のイーサリアム技術をそのまま活用でき、開発負担が少ない
- 高速処理と低コストを両立しており、大量の決済を扱う企業のニーズに合う
- 既に多数のアプリやサービスが稼働しており、エコシステムが成熟しつつある
- 大手企業の実証実験が進むなど、企業利用の前例が増えている
これらの条件がそろったことで、Baseは企業向けの決済基盤として選択しやすい環境になっており、JPモルガンが採用した理由につながったと考えられます。
H2:JPモルガンがBase採用でオンチェーン化に踏み切った理由
JPモルガンがBaseを採用し、預金トークンによる決済をオンチェーン化した背景には、金融市場の変化や規制環境の整備など、複数の要因が関わっています。
単に技術的な利便性だけでなく、ステーブルコイン市場の拡大、現実資産のトークン化の流れ、そして米国の規制動向など、金融の構造そのものが変わりつつあることが決断の土台にあります。
ここでは、JPモルガンがオンチェーン化に踏み出した理由を整理します。
ステーブルコイン市場の成長と銀行の危機感
急速に拡大するステーブルコイン市場に危機感を持ったことが、JPモルガンがオンチェーン化に踏み切った大きな理由です。
ステーブルコインは24時間低コストで送金でき、企業や個人が銀行を介さずに資金を動かすケースが増えています。このまま市場が伸びれば、銀行が担ってきた決済の役割が縮小する可能性があります。
JPモルガンはこうした流れに遅れないため、自らオンチェーン型の決済手段を導入する必要がありました。
RWA(現実資産トークン化)の潮流と業界の方向性
RWAの拡大が進んでいることも、JPモルガンがオンチェーン化を進める大きな理由です。
RWAとは、国債や社債、預金などの現実の資産をブロックチェーン上でデジタル化して扱う仕組みのことです。世界の金融機関では、RWAを次の成長分野として位置づけています。トークン化された資産は、送金や決済を即時で行え、管理コストも下げられるため、企業や金融機関にとって利便性が高まります。実際に国債や短期証券のトークン化が先行し、運用額は年々増加しています。
こうしたRWA拡大の流れの中で、預金をトークン化したJPMコインをオンチェーンで扱うことは自然な流れです。JPモルガンとしても市場トレンドに合わせた動きだと言えます。
Coinbaseインフラ(OP Stack)が規制に強い理由
Coinbaseが採用するOP Stackが規制面に強いことも、JPモルガンがBaseを選んだ理由の一つです。
OP Stackは、米国の金融規制を意識した透明性の高い設計になっており、運用ルールやセキュリティ基準が明確です。
Coinbase自体が上場企業であり、厳しい監査やコンプライアンス体制の下で事業を行っているため、銀行が求める法的リスクの少なさや信頼性を満たしやすい点も評価されています。トランザクションの監査性やチェーンの安全性が確保されていることは、金融機関がオンチェーン化を進めるうえで重要な条件です。
こうした特徴から、OP Stackを採用したBaseは、規制を重視する大手金融機関にとって扱いやすい基盤として位置づけられています。
JPモルガンがパブリックチェーンへシフトした意味
JPモルガンがパブリックチェーンに踏み出したことは、銀行の決済インフラが閉じたネットワークから、より開かれた仕組みに移行し始めたことを示しています。
パブリックチェーンを利用することで、外部サービスとの接続が容易になり、企業間決済や国際送金を効率化できる可能性があります。また、DeFiなど既存のオンチェーンサービスとも連携しやすくなるため、金融サービスの幅が広がります。
従来型の専用ネットワークだけでは競争力が維持しにくいと判断したことが、この方向転換の背景にあると考えられます。
JPをモルガンのJPMコイン(JPMD)とは?その仕組みと特徴
JPMコイン(JPMD)は、JPモルガンが自社の銀行預金をデジタル化した「預金トークン」です。1JPMD=1ドルの価値を持ち、企業間の決済を即時で処理するために使われます。
一般的なステーブルコインとは仕組みが異なり、銀行預金を基礎としたより規制に近い枠組みで運用されている点が特徴です。
ここでは、JPMコインの役割や仕組み、利用できる範囲などを整理します。
JPMコインは「預金トークン」
JPMコイン(JPMD)は、JPモルガンの銀行預金をデジタル化した預金トークンです。
1JPMDは1ドルの銀行預金と同じ価値を持ち、価格が常に1ドルに連動するように設計されています。このトークンの裏付けとなるのは、JPモルガンが保有する実際の銀行預金であり、預金残高をそのままオンチェーン上に反映したものです。
企業は、この預金トークンを利用することで、JPモルガンに預けている資金をブロックチェーン上で即時に移動でき、企業間の決済をより早く処理できるようになります。
ステーブルコインと何が違う?
JPMコインはパッと見るとステーブルコインに似ています。しかし、その本質は大きく異なります。
JPMコインはJPモルガンの銀行預金をデジタル化した預金トークンであり、企業間の決済に限定して利用されます。一方、USDCやUSDTなどのステーブルコインは民間企業が発行し、一般ユーザーも自由に購入・取引できるものです。
JPMコインもステーブルコインも価値はどちらも1ドルと連動しますが、裏付け資産や利用範囲、規制の枠組みが異なるため、同じカテゴリーとして扱うことはできません。
詳細な違いは後の比較章で整理しますので、ぜひ確認してみてください。
裏付け資産・利息・銀行規制など、構造の安全性
JPMコインは、JPモルガンが保有する銀行預金そのものが裏付け資産となるため、価値の安定性が高い点が特徴です。
JPMDコインはステーブルコインのように外部の準備金で価値を維持するのではなく、銀行預金をそのままデジタル化しています。そのため、預金者保護や銀行規制の枠組みの中で扱われます。
また、預金をトークン化しているため利息が発生する可能性があり、これは一般的なステーブルコインには見られない性質です。JPモルガンは銀行として厳しい監督下にあるため、運用ルールや資産管理が明確で、企業が利用する際の安全性が担保されています。
このように、法規制に基づく仕組みがJPMコインの大きな特徴となっています。
誰が使える?一般ユーザーが利用できない理由
JPMコインを利用できるのは、JPモルガンの口座を持つ企業や金融機関に限られています。一般ユーザーが売買したり、自由に送金に使ったりすることはできません。利用者が限定される理由は次のとおりです。
- JPMコインは企業間決済を効率化するための内部ツールとして設計されている
- JPモルガンの銀行預金をデジタル化したもので、市場流通を前提としていない
- 銀行規制の枠組みの中で運用されるため、利用者は法人顧客に限定される
- 投機目的や一般個人向けの利用は想定しておらず、取引所に上場する仕組みでもない
このように、JPMコインは一般ユーザー向けの暗号資産ではなく、JPモルガンに口座を持つ企業・金融機関の決済インフラとして使われるトークンとなっています。
ユーロ版JPMEや他チェーン展開の可能性
JPMコインには、米ドル版(JPMD)に加えて、ユーロに連動したJPMEがすでに試験導入されています。JPモルガンは複数通貨のトークン化を視野に入れており、将来的にユーロ以外の通貨へ広がる可能性もあります。
また、今回Baseでの本番運用が始まったことで、将来的に他のチェーンへ展開される可能性も考えられます。JPモルガンはこれまで独自チェーンのOnyxを運用してきましたが、企業間決済のニーズや他サービスとの連携を踏まえると、複数チェーンを併用するマルチチェーン化が進む可能性があります。
とはいえ、現時点で一般向けに広く流通させる計画は公表されておらず、あくまで企業向けの決済基盤として段階的に拡大していくと考えられます。
JPMコイン・USDC・USDT・JPYCの違いを比較
JPMコイン、USDC、USDT、JPYCは、いずれも「価値が安定したデジタル資産」という点では共通していますが、目的や仕組み、利用できる範囲は大きく異なります。企業向けに作られたものもあれば、誰でも使えるもの、国内で利便性が高いものなど、それぞれに役割があります。
ここでは4つの通貨を比較しながら、用途や安全性、規制面の違いをわかりやすく整理します。
4つの通貨の特徴をわかりやすく比較一覧表
JPMコイン、USDC、USDT、JPYCそれぞれについて、基本的な部分の比較表、規制・安定性・チェーンの比較表をまとめました。
・基本情報の比較
| 通貨名 | 発行主体 | 裏付け資産 | 利用範囲 | 主な用途 |
| JPMコイン(JPMD) | JPモルガン | JPモルガンの銀行預金 | JPモルガンの法人顧客のみ | 企業間決済、内部送金 |
| USDC | Circle | 現金・米国債などの準備金 | 一般ユーザーが利用可能 | 決済、送金、DeFi、取引 |
| USDT | Tether | 準備金(内訳の一部は非公開) | 世界中で幅広く利用 | 取引、海外送金、基軸通貨 |
| JPYC | JPYC株式会社 | 日本円建ての事前購入残高 | 国内サービスで利用拡大中 | 日本円建ての決済、送金 |
・規制・安定性・チェーン比較
| 通貨名 | 規制・安全性 | 価格安定性 | 対応チェーン |
| JPMコイン(JPMD) | 銀行規制の枠内で運用 | 1JPMD=1ドル | Base、Onyxなど |
| USDC | 高い透明性、準備金公開 | 1USDC=1ドル | Ethereum、Base、Solanaほか |
| USDT | 透明性はUSDCより低め | 1USDT=1ドル | Ethereum、Tronほか |
| JPYC | プリペイド型(資金移動業ではない) | 1JPYC=1円 | Polygon、Ethereumなど |
用途別におすすめの選び方
4つの通貨のうち、JPMコインだけは一般ユーザーが利用できず、JPモルガンの法人顧客向けに提供される仕組みです。そのため、個人が選ぶ対象になるのはUSDC・USDT・JPYCの3つになります。ここでは、JPMコイン以外のステーブルコインの用途ごとの選び方を整理します。
【個人で安全性の高いドル建て資産を扱いたい】
・USDC
透明性が高く、準備金も公開されているため信頼性があります。決済・送金・DeFiなど幅広く利用でき、初心者にも扱いやすい通貨です。
【海外取引所での売買をスムーズにしたい】
・USDT
世界で最も流通量が多いドル建てトークンで、多くの海外取引所の基軸通貨として利用できます。海外での売買が中心の人に向いています。
【日本円のまま決済したい・国内で使いたい】
・JPYC
1JPYC=1円で価値が安定し、国内ECや個人送金で使いやすい日本円建てトークンです。円のまま決済したい人に適しています。
日本円ステーブルコイン「JPYC」が国内で注目される理由
JPYCは、1JPYC=1円で価値が安定する日本円建てのデジタルトークンで、国内サービスやECでの利用が広がっています。暗号資産の価格変動を気にせず、日本円のまま送金や決済ができる点が特徴です。
今回の比較でも取り上げたように、個人ユーザーが扱いやすい円建てトークンとして注目されており、国内のWeb3サービスでも導入が進んでいます。
JPYCの仕組みや安全性、具体的な使い道については、以下の記事も参考にしてみてください。
「JPYCとは?始め方と安全性をわかりやすく解説」で詳しくまとめています。
JPモルガンのBase採用で何が変わる?ブロックチェーンへの影響
JPモルガンのBase正式採用は、ブロックチェーンの利用範囲は大きく広げる可能性があるものです。これまで暗号資産や一部のWeb3企業が中心だったオンチェーンの世界に、銀行や大手企業が本格的に参加する動きが加速すると考えられます。
ここでは、今回の採用がもたらす技術面・金融面での影響を整理します。
24時間即時決済(1秒未満・1セント未満)の実現
JPモルガンがBaseを採用したことで、企業間の資金移動が24時間いつでも即時に行えるようになります。
これまで銀行の国際決済は数時間から数日かかるケースもありました。しかしBase上では1秒未満で完了し、手数料も1セント未満に抑えられます。
銀行の決済インフラがブロックチェーン上で稼働することで、企業の資金効率は大きく向上し、取引のスピードとコストの両面でこれまでの仕組みを大きく上回る性能を実現します。
国際送金が“数日→数秒”になるインパクト
Base採用により国際送金が数秒になることは、金融業界に大きなインパクトを与えるものです。
国際送金は、銀行の営業時間や中継銀行のルールに左右され、着金まで数日かかることが一般的でした。特にドル決済では複数の金融機関を経由するため、処理が遅く、手数料も高くなりがちでした。
しかしBaseを使ったJPモルガンの送金では、このプロセスが大きく変わります。トランザクションは数秒で完了し、手数料もごくわずかで済むため、企業の資金管理や貿易取引のスピードが大きく向上します。国際送金の在り方そのものが変わる可能性があり、銀行インフラにとっても大きな転換点となります。
銀行とDeFiが同じチェーンで動く初の大規模事例
銀行インフラとDeFiが同じパブリックチェーンで稼働するのは、今回が初めての大規模事例です。
これまで銀行は独自ネットワーク、DeFiはオープンなブロックチェーンという形で運用されており、両者は分離したままでした。しかしJPモルガンがBaseを選んだことで、この境界が初めてつながり、銀行の決済システムがDeFiと同じレイヤーで動く環境が整いました。
これにより、企業や金融機関がオンチェーンの資産管理・決済・与信など幅広いサービスと連携しやすくなり、伝統金融とWeb3が融合する動きが加速すると考えられます。
預金トークンとRWAが実用フェーズに突入する意味
今回のBase採用で最も大きなポイント、それは預金トークンとRWA(現実資産のトークン化)が「実証段階」から「実際に使われる段階」へ進んだことです。
これまでRWAは、将来性こそ語られてきたものの、多くは実験的な取り組みに留まっていました。
そこにJPモルガンが本番環境で預金トークンを運用したことで、企業がオンチェーンで資金を扱う事例が現実に増え始める土台が整います。資金調達、決済、証券の発行といった金融プロセスが徐々にトークン化へ移行し、伝統金融とブロックチェーンの境界が薄れていく流れが加速すると考えられます。
RWAが本格的に使われるようになれば、オンチェーン上で扱える資産は暗号資産だけでなく、預金、債券、株式などへと広がり、ブロックチェーンの利用範囲は大きく拡大する可能性があります。
暗号資産市場への影響|ETH・L2・RWA銘柄はどう動く?
たぶん、この記事を読んでいる多くの方が最も気になっているのは「今回のJPモルガンの動きが暗号資産市場にどう影響するのか」という点ではないでしょうか。
Base採用は技術面の話に留まらず、ETHやレイヤー2、RWA銘柄など、実際のトークン価格や市場心理に直結する要素を含んでいます。
ここでは、どの領域にどのような影響が出るのかを整理します。
ETH(イーサリアム)の需要増
JPモルガンがBaseを採用したことで、イーサリアム全体の需要が高まる可能性があります。
Baseはイーサリアムのレイヤー2として動作しており、最終的な処理はメインネット側で確定されます。そのため、企業利用が進むほど、イーサリアムのネットワーク需要が増加するわけです。
- Base経由の取引は最終的にイーサリアムへ書き込まれ、ガス需要が増える
- レイヤー2全体の取引量拡大が、イーサリアムのエコシステム強化につながる
- 企業利用が増えることで、ETHが「決済インフラを支える資産」として再評価される
- 取引や決済が24時間即時で行われる環境が整うと、利用が自然と増える
ETHは単なる投資対象ではなく、インフラ資産としての位置づけがより明確になる可能性があります。急激な価格上昇につながるとは限りませんが、実需を背景にした底固めが進み、ETHの価値を支える要因になることは間違いないでしょう。
OP(Optimism)・COINなどBase関連銘柄への追い風
Baseが本格的に企業利用へ進むことで、Baseを支えるプロジェクトや関連企業にも追い風が期待できます。
BaseはOptimismが開発する技術基盤「OP Stack」を採用しているため、ネットワーク利用が増えればOPトークンを中心としたOptimismエコシステム全体にプラス材料となります。
また、Baseを運営するCoinbaseはナスダック上場企業(ティッカー:COIN)であり、企業のオンチェーン利用が増えることは取引基盤の拡大につながるため、同社にとってもポジティブな要素になります。
JPモルガンのような大手金融機関がレイヤー2を採用し、実運用に踏み切ったことは、L2全体の信頼性を高める要因にもなります。短期的に大きな値動きが起こるとは限りませんが、実需に基づく利用拡大が続けば、OPトークンやCOIN株の中長期的な支えになる可能性があります。
RWA銘柄(Chainlink・MakerDAO・Centrifuge)への波及
預金トークンが実運用フェーズに入ったことで、RWA(現実資産のトークン化)関連銘柄にとっても追い風となる可能性があります。JPモルガンがBaseで実際に預金をオンチェーン化したことは、現実資産をブロックチェーン上で扱う流れが本格化するサインだからです。
RWA領域では、資産の価格データや担保評価、清算プロセスが欠かせません。Chainlinkはオンチェーンでの価格データ提供(オラクル)を担い、MakerDAOは実際に米国債などのRWAを担保に組み込んでおり、Centrifugeは企業の請求書などをトークン化する仕組みを提供しています。
- Chainlink(LINK):オンチェーンでの価格データ提供(オラクル)
- MakerDAO(MKR):米国債などのRWAを担保に組み込み、DAIを発行
- Centrifuge(CFG):企業の請求書などをトークン化する仕組みを提供
これらのプロジェクトは、伝統金融の資産がオンチェーン化されるほど利用される場面が増えるため、今回のJPモルガンの動きは中長期でプラス材料になる可能性があります。短期的に価格が急上昇するとは限りませんが、RWAは今後の成長テーマとして注目が続くと考えられます。
AI銘柄への間接的影響
今回のBase採用はAI銘柄を直接押し上げる材料ではありません。しかし、資金決済のオンチェーン化が進むことで、AIとブロックチェーンが接続される場面が増える可能性があります。
企業がオンチェーンで資金を管理し始めれば、データ分析、リスク評価、送金フローの最適化などにAIが活用される場面が自然と広がるためです。特に以下の領域は、今後結びつきやすくなるかもしれません
- オンチェーンデータを使ったAIによる信用スコア推定
- 企業の資金フロー自動化におけるAIオートメーション
- オンチェーン決済×AI不正検知
- RWA(実資産のトークン化)におけるAIによる資産評価
- 大企業の内部決済をAIが自動最適化する仕組み
これらはすぐに価格に反映される材料ではないものの、オンチェーン化が企業レベルで進むほど、AIの活用領域は拡大します。今回のJPモルガンの動きは、その下地をつくる一つのきっかけになるかもしれません。
JPモルガンのBase採用ニュースのリスク・注意点
JPモルガンのBase採用は大きな前進ですが、すべてがプラス要素というわけではありません。技術面・市場面・規制面には注意すべきポイントもあります。
ここでは、特に押さえておきたいリスクを簡潔に整理します。
Base依存リスク(チェーン停止・集中化)
BaseはCoinbaseが主導するチェーンのため、特定企業への依存度が高く、ネットワーク障害や運営リスクが発生する可能性があります。パブリックチェーンとしては中央集権的になりやすい点も指摘されています。
市場インパクトのタイムラグ
JPMコイン(JPMD)はJPモルガンの法人顧客に限定された仕組みのため、市場全体にすぐ大きな影響を与えるわけではありません。企業のオンチェーン利用は段階的に進む性質があり、市場へのインパクトも時間差が生じやすい分野です。価格が短期的に反応しない可能性は十分あり、どちらかといえば中長期的な支えになるというイメージのほうが近いでしょう。
規制変更による方向転換の可能性
預金トークンやオンチェーン決済は各国の規制変更の影響を受けやすく、今後の政策次第では運用方法が見直される場合もあります。特に大手銀行の取り組みは規制当局に左右されやすい分野です。
ガス代高騰・L2渋滞の懸念
オンチェーン利用が増えると、レイヤー2やイーサリアム全体の混雑が発生し、手数料が上昇する可能性があります。大規模な企業ユースが増えるほど、ネットワーク負荷の管理が課題になります。
JPモルガンのBase採用に暗号資産投資家はどう判断すべき?
JPモルガンのBase採用は業界にとって大きなニュースですが、投資家がどのように判断すべきかは、短期と中長期で大きく変わります。価格がすぐ動く材料ではない一方、イーサリアムやレイヤー2にとってはファンダメンタルを底上げする要素も含まれています。
ここでは、相場の見方や投資方針の考え方を整理します。
短期:相場はどう動く可能性がある?
今回の発表は話題性が大きいものの、短期で相場が大きく動く材料とは言えません。JPMコインは一般ユーザーが利用できず、取引所に上場するわけでもないため、即座に買い圧力が発生することはないためです。
ただし、市場心理の改善や「企業がオンチェーンを使い始める」という象徴的な意味から、ETHやL2関連銘柄で一時的に買われる場面が出る可能性はあります。それでも、急騰につながるような強い短期材料ではなく、あくまで限定的な反応にとどまると考えられます。
中長期:ETHとL2はファンダメンタルが強化される
中長期で見れば、JPモルガンのBase採用はイーサリアム(ETH)とレイヤー2(L2)の基盤としての価値を高める要因になりやすい動きです。企業がオンチェーンで資金を扱うようになると、ガス需要やトランザクション量が緩やかに増え、イーサリアムのネットワーク価値は底上げされます。
また、Baseが採用する「OP Stack」をはじめ、Optimism系のレイヤー2全体が企業ユースに耐えるインフラとして評価される可能性も高まります。これは“投資家の期待”ではなく、実際の利用に伴って段階的に積み上がっていくタイプの成長です。
価格は短期的には大きく動かなくても、実需が裏側で積み上がることで、ETHやOPなどレイヤー2に関連する銘柄の中長期的な評価を支える土台になると考えられます。
Baseトークン発行の可能性(JPモルガン分析あり)
Baseは現時点で独自トークンを発行していませんが、一部のアナリスト(JPモルガンを含む)は「将来的に発行される可能性がある」と見ています。ただし、現状はあくまで予測段階で、公式な計画はありません。
BaseはOptimism(OP Stack)の上に構築されているため、ネットワークが拡大すれば、独自トークンでインセンティブやガバナンスを持たせる必要が出てくる可能性があります。一方で、Coinbaseは米国の規制下にあり、トークン発行には大きな法的ハードルがあるため、短期的に実現する可能性は高くありません。
現実的には、規制状況と企業利用の進展を見ながら、中長期で検討されるテーマと言えます。
投資初心者が意識すべき3つのポイント
JPモルガンのBase採用は大きな出来事ですが、初心者がいきなり価格変動を追いかける必要はありません。大切なのは、落ち着いて「どこに着目すべきか」を理解することです。ここでは特に重要な3点をまとめます。
【1:短期の値動きより“実需の積み上がり”を見る】
今回のニュースはすぐに価格を押し上げるタイプではありません。企業のオンチェーン利用はゆっくり進むため、中長期の成長材料として捉えるのが適切です。
【2:ETH・L2・RWAなど“基盤銘柄”を中心に見る】
銀行の採用はインフラ系の銘柄にとってプラスになりやすく、ETHやL2(OP、Base関連)、RWA銘柄が恩恵を受けやすい分野です。個別の小型トークンより、まずは基盤領域を見る方が安全です。
【3:ニュースだけで飛びつかず、分散と積立を徹底する】
大きなニュースでも、投資判断を急ぐ必要はありません。価格は過剰反応しやすいため、ドルコスト平均法や分散投資を軸に、無理のない範囲で運用することが重要です。
よくある質問(FAQ)
JPモルガンのBase採用について、よくある疑問をまとめて整理します。
Q1.JPMコインは一般ユーザーが買える?
買えません。JPMコイン(JPMD)はJPモルガンの法人顧客向けに提供されており、一般の暗号資産市場では流通しません。
Q2.USDCと何が違うの?
USDCは一般ユーザーも利用できるステーブルコインで、発行主体はCircleです。JPMコインは銀行の預金をデジタル化した「預金トークン」であり、JPモルガンの法人顧客のみが利用できます。流通範囲と規制区分が明確に異なります。
Q3.Baseは企業利用に安全なの?
Baseはイーサリアムのレイヤー2として動作し、セキュリティはイーサリアムのメインネットに依存しています。中央集権性が高いという指摘はありますが、技術的には企業利用を前提とした安定性が確保されています。
Q3.ETH価格は上がる?
短期では大きな値動きにつながりにくいものの、企業のオンチェーン利用が増えるほど、イーサリアムの実需がゆっくり積み上がっていきます。中長期ではネットワーク価値を支える要素になりやすいです。
Q4.JPYCとJPMDの違いは?
JPYCは一般向けに利用できる日本円ステーブルコインで、国内で決済や送金に使える暗号資産です。JPMDはJPモルガンの預金をトークン化した法人専用の預金トークンで、個人では利用できませんし市場流通もありません。
Q5.JPモルガンはなぜBTCではなくETHを選んだの?
銀行の決済システムにはスマートコントラクトが必須であり、イーサリアムはその基盤を提供しています。ビットコインはスマートコントラクト機能が限定的で、企業の資金決済インフラとしては適しません。銀行がETH系の技術を選ぶのは自然な流れです。
まとめ|JPモルガンのBase採用が示す未来
今回は、JPモルガンがBaseチェーンを採用したことや、その影響について解説しました。
JPMコインは一般ユーザーが直接利用できるトークンではありませんが、企業が実際にオンチェーンで資金を扱い始めたという点は大きな前進です。
この流れは、イーサリアムやレイヤー2といった基盤領域の価値を中長期で支える方向に働きやすく、RWAや企業向けブロックチェーンの採用を後押しする可能性もあります。価格がすぐ動く材料ではないものの、実需に基づく変化が静かに積み上がることで、暗号資産の基盤が強化されていくことが期待されます。
伝統金融とブロックチェーンが本格的に接続し始めたことで、企業の資金決済、RWA、国際送金など、金融とブロックチェーンの結びつきは今後さらに広がっていくでしょう。
暗号資産の実用化が加速する中で、「まずは少額から仮想通貨に触れてみたい」とお考えかもしれません。これから仮想通貨を始めるなら、最初の一歩として使いやすい国内取引所を選ぶことが大切です。
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くりぷてゃです。2017年の“出川組”で仮想通貨デビューし、大きく上がって大きく下がる波を経験しました。今は毎月少額積立と、気になるエアドロップでゆるく資産づくり中。初心者にもわかりやすく仮想通貨の今を発信しています。




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